
歯並びを整えたいけれど、矯正装置を目立たせたくない——そう考えたとき、真っ先に候補に挙がるのが歯の裏側矯正です。
しかし、いざ調べてみると「費用が高そう」「どのくらいかかるのかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
裏側矯正の費用相場は、クリニックによって大きく異なり、何が費用に含まれているのか把握しづらいという側面もあります。
この記事では、裏側矯正の費用相場から、費用が高くなる理由、フルリンガルとハーフリンガルの違い、追加費用の内訳、そして費用を少しでも抑えるためのポイントまでを体系的に解説します。
この記事を読み終えたとき、裏側矯正の費用について正しい知識を持ち、クリニック選びや治療計画を自信を持って進めることができるようになるはずです。
裏側矯正の費用相場:全体矯正は100万〜170万円が目安

複数の矯正歯科クリニックの料金案内や医師監修のコラムを総合すると、歯の裏側矯正(舌側矯正・リンガル矯正)の費用相場は、全体矯正で100万〜170万円前後、部分矯正で30万〜70万円前後というのが現在の主流であると言えます。
2025〜2026年版の解説記事においても、この価格帯が引き続き主流として報告されており、一部のまとめでは平均123万円や81万〜160万円といった、より細かい価格帯が示されています。
また、表側矯正(ラビアル矯正)と比較した場合、裏側矯正は1.5〜2倍程度の料金設定として案内するクリニックが多く、差額としては20万〜50万円程度高くなるケースが一般的です。
裏側矯正は自由診療(保険適用外)であるため、医院ごとの料金差が大きい点が特徴的です。
同じ「裏側矯正」という治療名であっても、装置の種類や治療の範囲、含まれるサービスの内容によって、総額が大きく変わることを理解しておく必要があります。
裏側矯正の費用が高くなる3つの主な理由

裏側矯正は、なぜ表側矯正よりも費用が高くなるのでしょうか。
この点については、大きく3つの要因に分類できます。
理由① オーダーメイドの装置が必要になるため
表側矯正に使用するブラケットは、歯の表面に装着するため、規格化された製品をある程度そのまま使用することができます。
一方、裏側矯正に使用するブラケットは、歯の裏側(舌側)に装着するため、個々の歯の形状に合わせたオーダーメイド設計が必要です。
例えば、「インコグニート」や「WIN」といった代表的な裏側矯正装置は、患者一人ひとりの歯型をもとに海外の専門工場で製造されることがほとんどです。
この製造コストが、装置代として費用に上乗せされる主な要因の一つとなっています。
理由② 高度な技術力が要求されるため
歯の裏側は、歯科医師にとって視認性が低く、表側と比べてブラケットの装着や調整が非常に難しい部位です。
また、舌が装置に干渉しやすいという解剖学的な特徴から、精緻な作業が求められます。
そのため、裏側矯正を適切に行うためには、専門的なトレーニングを受けた矯正歯科医のもとで治療を受ける必要があります。
技術的なハードルが高い分、技術料が費用に反映される構造となっています。
理由③ 治療期間・通院回数が表側矯正と同等かそれ以上かかるため
裏側矯正の治療期間は、症例によって異なりますが、全体矯正の場合は1.5年〜3年程度が一般的です。
治療期間中、1〜1.5か月ごとに通院して装置の調整(アジャスト)を行う必要があり、その都度、調整料が発生するケースがあります。
具体的には、調整料が1回あたり5,000〜7,000円程度に設定されているクリニックも見られます。
ただし、近年は「調整料込みの総額制」を採用するクリニックも増えており、支払い方法の多様化が進んでいます。
フルリンガルとハーフリンガルの費用の違い

裏側矯正には、大きく分けてフルリンガルとハーフリンガルの2種類があります。
それぞれの特徴と費用相場を以下で整理します。
フルリンガルとは
フルリンガルとは、上下両方の歯列において、すべて裏側にブラケットを装着する方法です。
矯正装置が完全に見えないため、審美性を最大限に確保することができます。
費用の目安は、全体矯正で100万〜170万円前後が相場とされています。
最も審美性に優れる反面、費用も最も高くなる傾向があります。
ハーフリンガルとは
ハーフリンガルとは、上の歯列は裏側、下の歯列は表側にブラケットを装着する組み合わせを指します。
日常生活において正面から見える上の歯列を裏側にすることで、目立ちにくさを確保しつつ、コストを抑えることができます。
費用の目安は、80万〜132万円程度と案内するクリニックが複数見られます。
フルリンガルと比較して、数十万円程度費用が抑えられる点がハーフリンガルの特徴です。
どちらを選ぶべきか
フルリンガルとハーフリンガルの選択は、審美性へのこだわりと予算のバランスによって決まると言えます。
例えば、接客を重視する仕事に従事している方や、写真や動画に写る機会が多い方はフルリンガルを選ぶケースが多い一方、費用を優先する場合はハーフリンガルが選択肢となります。
なお、どちらの方式が自分の歯並びの状態に適しているかについては、矯正歯科医による精密検査(セファロ分析など)を受けた上で判断することが重要です。
裏側矯正の追加費用と内訳:表示価格だけでは比較できない

裏側矯正の費用を正確に把握するためには、クリニックが提示する基本料金だけでなく、追加で発生する可能性のある費用を確認することが不可欠です。
以下に、一般的に発生する費用項目を整理します。
検査・診断料
矯正治療を開始する前に、精密検査(歯型採取・X線撮影・口腔内写真撮影・セファロ分析など)が必要です。
この検査・診断料は、1万〜5万円程度が相場とされており、クリニックによっては初回相談料として別途設定されているケースもあります。
装置代(ブラケット・ワイヤー代)
裏側矯正装置そのものの費用です。
オーダーメイドで製作される高精度な装置を使用する場合、装置代だけで数十万円に達することもあります。
総額表示のクリニックでは、この装置代が含まれているかどうかを確認することが重要です。
調整料(アジャスト料)
治療中、定期的に行うワイヤーの調整(アジャスト)に対する費用です。
前述のとおり、1回あたり5,000〜7,000円程度と設定するクリニックがある一方、「調整料込み」のトータルフィー制を採用するクリニックも増えています。
治療期間が2年の場合、月1回の通院であれば調整料の合計が12万〜17万円程度になる計算であり、これを見逃すと総額が大きく変わります。
抜歯代
矯正治療において歯を抜く(抜歯)必要がある場合、その費用が別途発生します。
保険診療と自由診療のどちらで行うかによって費用は異なりますが、1本あたり3,000〜1万5,000円程度が一般的です。
スペースを確保するために、小臼歯を数本抜歯するケースでは、数万円単位での追加費用となります。
保定装置(リテーナー)代
矯正治療が完了した後、歯の後戻りを防ぐために保定装置(リテーナー)を装着する必要があります。
リテーナーの費用は数千円〜数万円程度が多く、定期検診費用とあわせて確認しておくべき項目です。
費用相場の具体的なシミュレーション
ここでは、実際の治療ケースを想定した3つのシミュレーションを紹介します。
費用のイメージをより具体的に掴むための参考としてください。
ケース① 軽度の歯並び・部分的な前歯の矯正
前歯数本のみが対象となる部分的な裏側矯正の場合、費用の目安は30万〜70万円前後です。
例えば、上の前歯4〜6本を対象としたハーフリンガルの部分矯正であれば、装置代・調整料込みで40万〜60万円程度に収まるケースも見られます。
治療期間は6か月〜1年程度が一般的で、全体矯正と比較して費用・期間ともにコンパクトに収まることが特徴です。
ケース② 中程度の歯並び・ハーフリンガル全体矯正
上の歯列を裏側、下の歯列を表側とするハーフリンガルの全体矯正の場合、費用の目安は80万〜132万円程度です。
例えば、調整料を含む総額制のクリニックで治療を受ける場合、この範囲内に収まることが多いと言えます。
治療期間は1.5〜2.5年程度が一般的です。
ケース③ 重度の歯並び・フルリンガル全体矯正・抜歯あり
上下とも裏側に装置を装着するフルリンガルの全体矯正で、かつ抜歯が必要な難症例の場合、費用の目安は150万〜170万円以上になるケースも珍しくありません。
具体的には、基本費用140万円に加えて、抜歯代(小臼歯4本)で約2万〜4万円、保定装置代で約3万〜5万円が上乗せされるといったイメージです。
治療期間は2〜3年程度となり、総額も最も高くなる組み合わせです。
裏側矯正の費用を少しでも抑えるためのポイント
裏側矯正は高額な治療である一方、いくつかの方法によって費用の負担を軽減できる可能性があります。
以下に、代表的なポイントを整理します。
① 総額制(トータルフィー制)のクリニックを選ぶ
調整料が別途発生するクリニックの場合、治療期間が長くなるほど追加費用がかさむことになります。
これに対し、調整料込みの総額制を採用しているクリニックを選ぶことで、支払い総額を事前に正確に把握でき、予算超過のリスクを抑えることができます。
クリニックを比較する際は、「提示価格に調整料が含まれているか」を必ず確認しましょう。
② ハーフリンガルを検討する
前述のとおり、ハーフリンガルはフルリンガルと比較して数十万円程度費用が安くなる傾向があります。
下の歯列は日常的に見えにくい場合も多く、審美性を大きく損なわずにコストを抑えることが可能です。
自分の優先事項(審美性 vs コスト)を整理した上で、歯科医師と相談することをお勧めします。
③ 分割払い・デンタルローンを活用する
近年、裏側矯正に対応したクリニックの中には、分割払いやデンタルローンを提供しているところも増えています。
例えば、治療総額120万円を24回払いにすると、月々の支払いは約5万円程度に分散させることができます(金利・手数料は別途確認が必要)。
まとまった費用の支払いが難しい場合は、分割払いに対応しているクリニックを選ぶことで、月々の負担を軽減できます。
④ 医療費控除を活用する
歯列矯正の費用は、一定の条件を満たす場合に医療費控除の対象となります。
具体的には、成人の審美目的の矯正は対象外となるケースもありますが、噛み合わせの機能回復を目的とした矯正は対象とみなされる場合があります。
確定申告を通じて還付を受けられる可能性があるため、担当の税務署や税理士に確認することを検討してください。
年間10万円を超える医療費がある場合に適用できる制度であり、高額な矯正治療の費用負担を実質的に軽減できる有効な手段の一つです。
⑤ 複数のクリニックで見積もりを比較する
裏側矯正は自由診療であるため、同じ治療内容でもクリニックによって費用が大きく異なります。
都内などの都市部では、比較的低価格の裏側矯正を打ち出す医院も見られますが、その場合は総額の内訳(何が含まれていて何が含まれていないか)を精査することが重要です。
複数のクリニックで無料相談・カウンセリングを受け、見積もりを比較した上で選択することが、最も確実な費用比較の方法と言えます。
裏側矯正の費用に関するまとめ
ここまでの内容を整理すると、歯の裏側矯正(舌側矯正・リンガル矯正)の費用については、以下の点が重要なポイントとしてまとめられます。
- 全体矯正の費用相場は100万〜170万円前後、部分矯正は30万〜70万円前後が現在の主流です。
- 表側矯正より1.5〜2倍程度高くなるのが一般的であり、その理由はオーダーメイド装置・高度な技術力・治療期間の長さにあります。
- フルリンガル(上下裏側)はすべて裏側で審美性が最高、ハーフリンガル(上のみ裏側)はコストを20万〜40万円程度抑えられる場合があります。
- 費用の総額には、検査料・装置代・調整料・抜歯代・保定装置代などが含まれる場合と含まれない場合があり、表示価格だけでの比較は難しいです。
- 費用を抑えるには、総額制クリニックの選択・ハーフリンガルの検討・分割払いの活用・医療費控除の利用・複数クリニックの比較が有効な方法と言えます。
裏側矯正の費用は、歯並びの難易度・抜歯の有無・装置の種類・通院回数・地域によって変動するため、最終的な費用は必ず歯科医師による精密検査と診断を受けた上で、個別の見積もりをもとに判断することが不可欠です。
裏側矯正は確かに高額な治療ですが、装置が目立たないという大きなメリットがあり、仕事や日常生活に影響を与えずに歯並びを整えたい方にとって、非常に有力な選択肢の一つです。
費用の内訳をしっかりと把握し、自分の口腔状態と予算に合った治療計画を立てることが、満足度の高い矯正治療につながると言えます。
まずは気になるクリニックに無料相談を予約してみることから始めることをお勧めします。
多くのクリニックでは、初回カウンセリングを無料で実施しており、おおまかな費用感や治療方針を確認するだけでも、前進するための大きな一歩となるはずです。
ぜひ、複数のクリニックに相談しながら、自分に最適な裏側矯正の選択肢を見つけてください。
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