
「自分の歯並びは悪い方なのだろうか?」「日本人の中でどれくらいの人が歯並びに問題を抱えているのだろう?」と気になっている方は少なくないでしょう。
実は、日本では歯並びに何らかの乱れがある人の割合は約6割以上とされており、歯並びの悩みはけっして特別なことではありません。
この記事では、歯並びが悪い人の割合を示すデータをもとに、不正咬合の種類・原因・日本と海外の意識の差・矯正治療の実態まで、体系的かつ詳しく解説します。
読み終えた頃には、自分の状況を客観的に把握し、今後どう行動すればよいかのヒントが得られるでしょう。
日本では歯並びが悪い人は約6割、しかし矯正しているのは約2割

結論を先にお伝えします。
日本において歯並びに何らかの問題(不正咬合)がある人の割合は、約6割程度とされています。
厚生労働省の歯科疾患実態調査を参照した情報によれば、12〜20歳の前歯を対象とした調査において、不正咬合が認められた割合は60%を超えるとされています。
一方で、実際に矯正治療を受けている、または受けたことがある人の割合は約2割前後にとどまるとされています。
つまり、歯並びに問題があると考えられる人の多くが、治療を受けずにいる状況にあると言えます。
この「6割が問題あり、でも矯正しているのは2割」という大きなギャップが、日本の歯科矯正の現状を端的に表しています。
なぜ日本では歯並びが悪い人がこれほど多いのか

歯並びが悪い人の割合が日本でこれほど高い背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
この問題は大きく3つの観点から整理することができます。
第一に「身体的・遺伝的な要因」、第二に「生活習慣・環境要因」、第三に「社会的・医療的背景」です。
第一の要因:身体的・遺伝的な背景
歯並びの乱れは、顎の大きさと歯の大きさのバランスが合わないことで生じることが多いと言えます。
具体的には、顎が小さいにもかかわらず歯が大きい場合、歯が正しく並ぶスペースが不足し、歯が重なったり傾いたりする叢生(そうせい)が生じます。
叢生は不正咬合の中でも最も多いタイプとされており、子どもの約44%に見られるとされています。
また、遺伝的な要素として、顎の骨格や歯の大きさ・形が親から子へ受け継がれることが多く、家族内で同じような歯並びになる傾向も見られます。
こうした遺伝的背景は、個人の努力だけではコントロールしにくい要因と言えます。
第二の要因:生活習慣・環境要因
現代の食生活の変化も、歯並びに影響を与える重要な要因として挙げられます。
食の軟食化(やわらかい食べ物を好む傾向)が進んだ結果、顎を使う機会が減少し、顎の発達が不十分になりやすいとされています。
顎の発達が不十分だと、歯が並ぶスペースが確保されにくくなり、叢生などの不正咬合が起きやすくなると考えられます。
そのほかにも、以下のような習慣的な行動が歯並びに影響を与えることがあるとされています。
- 指しゃぶりや舌を前歯に押し当てる癖(舌癖)
- 口呼吸の習慣(鼻ではなく口で呼吸すること)
- 頬杖をつく習慣
- 乳歯が早期に抜けてしまうことによる永久歯の位置ズレ
これらの習慣は、特に成長期の子どもにおいて顎や歯の発育に影響を与えやすく、放置すると不正咬合が定着してしまうことがあります。
第三の要因:社会的・医療的背景
日本では、歯並びに対する治療意識が欧米諸国と比較して低い傾向があるとされています。
ある調査では、外国人の76%が「日本人は歯並びが悪い」と回答したというデータが紹介されており、海外から見た日本の歯並びへの関心の低さが浮き彫りになっています。
また、歯科矯正治療は日本では保険適用外のケースがほとんどであり、治療費が高額になりやすいことも、治療を躊躇させる要因として考えられます。
このような経済的障壁も、「問題があるとわかっていても矯正しない」という状況を生む一因と言えます。
不正咬合の種類と割合:歯並びが悪い状態は一種類ではない

一口に「歯並びが悪い」と言っても、その状態は多様です。
不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯列やかみ合わせに乱れがある状態の総称であり、いくつかの代表的な種類に分類することができます。
叢生(そうせい):最も多いタイプ
叢生とは、歯が重なって生えたり、デコボコに並んだりしている状態を指します。
「八重歯」も叢生の一種です。
不正咬合の中で最も多いタイプとされており、子どもの約44%に見られるとされています。
顎のスペースに対して歯が大きすぎる場合や、乳歯が早く抜けて永久歯の生えるスペースが不足した場合などに生じやすいと言えます。
上顎前突(じょうがくぜんとつ):いわゆる出っ歯
上顎前突とは、上の前歯が前方に突き出している状態、いわゆる「出っ歯」を指します。
遺伝的な骨格の影響のほか、指しゃぶりや舌癖などの習慣的行動が原因となる場合もあります。
上顎前突は見た目の問題だけでなく、前歯でものを噛みにくくなるという機能的な影響も生じることがあります。
反対咬合(はんたいこうごう):受け口
反対咬合とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を指し、一般的に「受け口」と呼ばれます。
遺伝的な顎の骨格の影響を受けやすく、早期に矯正治療を検討することが推奨される場合もあります。
反対咬合は、かみ合わせに支障をきたすだけでなく、顎関節への負担が生じる可能性もあるとされています。
開咬(かいこう):奥歯でかむと前歯が開く
開咬とは、奥歯でかみ合わせたときに前歯が上下で接触せず、隙間が生じている状態を指します。
舌癖(舌を前歯の間に挟む癖)や指しゃぶりの習慣が原因となることが多いとされています。
前歯での咀嚼(そしゃく)が難しくなるため、食事への影響が生じることもあります。
過蓋咬合(かがいこうごう):深い噛み合わせ
過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯を深く覆い隠している状態を指します。
通常、上下の前歯は少し重なる程度ですが、過蓋咬合では下の前歯がほぼ見えなくなるほど深く覆われるケースもあります。
顎関節への負担がかかりやすく、顎関節症のリスクとの関連が指摘されることもあります。
空隙歯列(くうげきしれつ):すきっ歯
空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間がある状態、いわゆる「すきっ歯」を指します。
顎に対して歯が小さい場合や、歯の本数が不足している場合に生じやすいと言えます。
見た目の問題のほか、食べ物が歯の隙間に詰まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性もあります。
具体的なデータで見る歯並びが悪い人の実態

ここでは、歯並びが悪い人の割合に関する具体的なデータや調査結果を3つ取り上げ、日本の現状をより詳しく見ていきます。
データ①:厚生労働省の調査に基づく不正咬合の割合
厚生労働省が実施する歯科疾患実態調査を参照した情報によれば、12〜20歳の前歯を対象とした調査で、不正咬合が認められた割合は60%を超えるとされています。
この数字は、若年層においても歯並びの問題が非常に一般的であることを示しています。
さらに、不正咬合の中で最も多いとされる叢生は、子どもの約44%に見られるとされており、小学校のクラスの半数近くが該当する可能性があると言えます。
こうしたデータから、歯並びの問題は一部の人に限られた特殊な状態ではなく、社会全体として広く見られる課題であることが分かります。
データ②:矯正治療を受けている人は約2割にとどまる
歯並びが悪いとされる人が約6割存在する一方で、実際に矯正治療を受けている、または受けた経験がある人は約2割前後という情報が複数の記事で紹介されています。
この数字を対比させると、以下のような状況が浮かび上がります。
- 歯並びに問題がある人:約6割
- そのうち矯正治療を受けている/受けた人:約2割
- 問題を抱えながら治療を受けていない人:相当数に上ると推定される
この背景には、治療費の高さ・治療期間の長さ・矯正治療への心理的ハードルなど、複数の障壁が存在すると考えられます。
データ③:歯並びへの関心・意識の高まりを示す調査
近年では、歯並びの見た目や第一印象への関心が高まっていることを示す調査結果も報告されています。
まず、20代・30代女性を対象とした調査では、65.5%が矯正治療をしたいと回答しており、潜在的な治療ニーズが高い層が存在することが分かります。
一方で実際の治療実施率はそれに追いついておらず、「したいけれどできていない」という状況が多くの人に当てはまると言えます。
また、外国人を対象とした調査では、76%が「日本人は歯並びが悪い」と回答したというデータが紹介されており、国際的な視点から見ると日本人の歯並びの問題は顕著であるとされています。
さらに、歯科矯正の経験がある人とない人とでは、相手の歯並びが「気になる」と答える割合に大きな差があるという調査もあり、矯正経験者ほど歯並びへの意識が高まる傾向があることが示されています。
歯並びが悪いことによる影響:見た目だけではない
歯並びが悪いことの影響は、見た目(審美的な問題)にとどまらず、口腔内の健康や全身の健康にも及ぶ可能性があると言えます。
以下に代表的な影響を整理します。
口腔内の健康への影響
歯が重なり合っていたり、隙間が不均等だったりすると、歯磨きがしにくくなり、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。
これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まるとされており、長期的な口腔内の健康に悪影響を与える可能性があります。
咀嚼機能への影響
かみ合わせが正しくないと、食べ物を均等に噛み砕くことが難しくなります。
例えば、開咬の場合は前歯で食べ物を噛み切れず、奥歯に過度な負担がかかることがあります。
咀嚼機能の低下は、消化器への負担増加にもつながる可能性があると指摘されています。
発音・滑舌への影響
歯並びやかみ合わせは、発音にも影響を与えることがあります。
具体的には、上顎前突(出っ歯)や開咬の場合、さ行やた行などの発音がしにくくなるケースがあるとされています。
このような発音の問題は、日常会話やコミュニケーションに影響を与えることもあります。
顎関節への影響
かみ合わせが不均衡だと、顎の関節に偏った負担がかかることがあります。
これが継続すると、顎関節症(あごの関節の痛みや音、開閉のしにくさ)につながるリスクがあるとも言われています。
顎関節症は、頭痛や肩こりなどの全身症状と関連することもあるとされており、歯並びの問題が全身の健康と無関係でないことを示しています。
心理的・社会的な影響
歯並びは、第一印象に影響を与えることがあります。
ある調査では、歯並びが相手への印象を左右するという結果が示されており、自信を持って笑えないことで心理的なストレスを感じる方も少なくないとされています。
特に就職活動や人前に立つ機会が多い方にとっては、歯並びが自己表現やコミュニケーションに影響を与えることもあると言えます。
日本と海外の歯並びに対する意識の違い
歯並びに対する意識や治療率は、国によって大きく異なります。
特に、アメリカをはじめとする欧米諸国では、子どものうちから歯科矯正を行うことが一般的であり、歯並びへの投資を惜しまない文化が根付いているとされています。
一方、日本では矯正治療が保険適用外であるケースが多く、費用面の負担が大きいため、治療に踏み切れない人が多いとされています。
また、日本ではかつて「八重歯はかわいい」という価値観があったように、叢生を個性として受け入れる文化的土壌があったことも、治療意識の低さに影響していると考えられます。
しかし近年では、20代・30代を中心に歯並びへの関心が急速に高まっており、マウスピース矯正などのより目立ちにくい治療法の普及も相まって、矯正治療を検討する人が増えているとされています。
社会全体として歯並びへの意識が変化しつつある段階にあると言えるでしょう。
この記事のまとめ:歯並びが悪い人の割合と知っておくべきポイント
この記事で解説してきた内容を、以下に整理します。
- 日本では歯並びに何らかの乱れ(不正咬合)がある人は約6割程度とされている
- 厚生労働省の歯科疾患実態調査を参照した情報によれば、12〜20歳の前歯を対象とした不正咬合の割合は60%超とされている
- 不正咬合の中で最も多いのは叢生で、子どもの約44%に見られるとされている
- その他の代表的な不正咬合として、上顎前突・反対咬合・開咬・過蓋咬合・空隙歯列などがある
- 実際に矯正治療を受けている人は約2割前後にとどまり、問題があっても治療しない人が多い
- 歯並びの悪さは見た目だけでなく、虫歯・歯周病・咀嚼機能・顎関節症・心理的影響など幅広い影響をもたらす可能性がある
- 日本は海外と比べて歯並びへの治療意識が低い傾向があるが、近年では意識の変化が見られる
これらを踏まえると、「歯並びが悪い」という状態は、日本では決して少数派ではなく、多くの人が共通して抱えている課題であると言えます。
また、歯並びの問題は放置しても自然に改善することはほとんどなく、年齢を重ねるごとに影響が蓄積されていく可能性があることも、念頭に置いておくことが大切です。
もし「自分の歯並びが気になっている」「かみ合わせに違和感がある」という方は、まず歯科医院や矯正歯科に相談してみることを検討されることをおすすめします。
現在は、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・部分矯正など、ライフスタイルや予算に合わせてさまざまな治療方法が選択できるようになっています。
「6割が歯並びに問題を抱えている」というデータが示すとおり、歯並びの悩みを持つことはごく一般的なことです。
一人で抱え込まず、専門家の意見を聞くことが、口腔内の健康を守る第一歩となるでしょう。
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